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品目マスタ作成(MM01):ビューの選択と入力項目を「3つの階層」で理解する

品目マスタは、1つの品目に「購買・在庫・会計」の情報を束ねる台帳です。本記事ではMM01の初期画面(品目タイプ・業種・品目番号)から、ビューの選択、プラント・保管場所という組織レベルの指定、購買・MRP・会計ビューの入力項目まで、実務で迷うポイントを図解します。

公開日:2026-10-31読了目安:約11分閲覧数:—

この記事のポイント

  • 品目マスタは「クライアント・プラント・保管場所」の3階層。同じ品目でもプラントごとに購買・MRP・評価の値を持つ
  • MM01の初期画面で決めるのは品目タイプ・業種・品目番号の3つ。この3つで「どのビューが使えるか」が決まる
  • ビューは後からMM02で追加できるが、プラント・保管場所を跨ぐ追加と評価系の変更は影響が大きい
  • 品目マスタは購買発注・在庫移動・会計転記すべての起点。項目の設計ミスは伝票と決算にそのまま波及する
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MM01は画面が多くて身構えますが、「最初の3項目」と「ビューの選択」さえ押さえれば8割は終わりです。入力項目は“どこで使われるか”から逆算すると、覚える量がぐっと減りますよ

01WHAT 品目マスタとは何か——1品目に「3つの階層」と「12のビュー」がぶら下がる

品目マスタ(Material Master)は、調達・生産・在庫・販売・会計で共通に使う品目の台帳です。SAPでは「1つの品目=1つのマスタ」ですが、その中身は組織レベルごとに分かれています。ここを理解しないまま入力すると、「本社では登録できたのに、なぜかプラントで発注できない」という典型的なつまずきが起きます。

階層は3つです。クライアントレベルは全社共通の基本情報(品目番号・品目タイプ・名称・単位)、プラントレベルは購買やMRP、在庫評価の単位、保管場所レベルは倉庫ごとの在庫数量を管理します。同じ品目でも、プラントが違えば購買グループもMRPタイプも評価クラスも別の値を持てます。

もう1つの軸が「ビュー」です。品目マスタの画面は、業務領域ごとに12前後のビューに分かれています。ビューは単なる入力タブではなく、「その項目をどの業務が読むか」のまとまりです。購買ビューの項目は購買発注書が、MRPビューは所要量計算が、会計ビューは在庫評価と勘定転記が参照します。

階層管理する内容代表的なビュー登録時に入力する場面
クライアント品目番号・品目タイプ・名称・基本単位・重量基本データ1/基本データ2全社で1回だけ登録する
プラント購買・MRP・在庫評価・原価計算購買/MRP1〜4/会計1・2/原価計算プラントごとに1回。拠点追加のたびに必要
保管場所倉庫ごとの在庫数量と保管条件保管場所データ在庫を持つ保管場所ごとに登録
品目マスタの3階層とビューの対応関係 クライアント・プラント・保管場所の3階層に分かれ、各階層で管理するビューが異なることを示す図。購買とMRPはプラント単位、在庫数量は保管場所単位で持つ。 品目マスタは3階層——「どこで持つ値か」でビューが分かれる クライアントレベル(全社共通・1回だけ登録) 品目番号 / 品目タイプ / 名称 / 基本単位 / 重量・容積 ビュー:基本データ1・基本データ2 プラントレベル(P001・P002…/プラントごとに値を持つ) 購買 MRP1〜4 会計1・2 原価計算 購買グループ・MRPタイプ・発注点・評価クラスなど、拠点ごとに変わる値はすべてここ ★ 拠点を追加するたびに、この階層のビュー入力が1セット増える 保管場所レベル(0001・0002…/倉庫ごとの在庫数量) ビュー:保管場所データ(在庫数量・棚卸関連) 在庫を持つ拠点・倉庫の分だけ登録が必要。数量は伝票の結果として更新される ★ 品目タイプはクライアントレベルで固定 作成後に品目タイプを変えると、使えるビュー・番号範囲・勘定設定の前提がすべて変わる。登録前の確認が最重要
図1:品目マスタの3階層とビューの対応——「同じ品目でもプラントごとに値を持つ」が最大のポイント
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「品目マスタは1つ」だが「1画面で全部入る」わけではない

MM01では複数のビューをまとめて選択できますが、入力する組織レベル(プラント・保管場所)はビュー選択の後に指定します。新規拠点の立ち上げでは、既存プラントの値を参照してコピーできるため、「基準プラントを1つ決めて、そこから横展開する」のが最も早く、値のばらつきも防げます。

02POINTS MM01の初期画面——品目タイプ・業種・品目番号で入力できる項目が決まる

MM01の初期画面で入力するのは、品目番号・品目タイプ・業種の3項目です。この3つが、その後のビューの選択肢と必須項目を決めます。ここを間違えると、後工程で「このビューが出てこない」「この項目がグレーアウトしている」という状態になります。

品目タイプは品目の性格(原材料・製品・半製品・サービスなど)を決め、番号範囲と標準ビューを制御します。代表的なのは原材料(ROH)、貿易商品(HAWA)、製品(FERT)、半製品(HALB)、サービス(DIEN)です。業種は業界区分(機械・化学・小売など)で、項目選択グループと組み合わさって画面の項目構成を変えます。

品目タイプ用途標準で使うビュー注意点
ROH(原材料)購買して在庫を持つ資材購買・MRP・会計・原価計算評価クラスと勘定設定が必須。在庫評価の対象
HAWA(貿易商品)仕入れてそのまま販売する商品購買・MRP・会計SDと連携する場合は販売ビューも検討
FERT(製品)生産して販売する完成品MRP・会計・原価計算・販売生産管理(PP)側の設定と整合が必要
DIEN(サービス)在庫を持たないサービス購買・会計(在庫なし)数量管理・在庫評価の対象外になる

品目番号は「内部採番」と「外部採番」を先に決める

品目番号は、SAPが自動で採番する内部採番と、自社の品目コードを入力する外部採番の2方式があります。番号範囲(Tコード:MMNR)で品目タイプごとに方式を決めるため、採番方式は品目タイプの設計とセットです。既存の品目コード体系がある場合は外部採番、新規に体系を作る場合は内部採番が向きます。桁数と先頭文字のルールは後から変更できないため、移行前に確定させてください。

MM01の操作手順——4ステップ

  1. MM01を起動し、品目番号・品目タイプ・業種を入力する——内部採番の場合は品目番号を空欄にして実行します。既存品目を参照する場合は「参考品目(Copy from)」で値をコピーできます
  2. ビューを選択する——業務で必要になるビューにチェックを入れます(基本データ1・2/購買/MRP1〜4/会計1・2/原価計算など)。後から追加できるので、初回は必須ビューに絞って構いません
  3. 組織レベル(プラント・保管場所)を指定する——購買・MRP・会計はプラント単位、在庫数量は保管場所単位です。複数プラントへ同時展開する場合はここで複数指定できます
  4. 各ビューの項目を入力して保存する——必須項目は赤い枠ではなくメッセージで示されます。保存後はMM03(照会)で入力漏れを確認するのが実務的です
MM01の4ステップと、各ステップで決まること 初期画面の3項目、ビュー選択、組織レベル指定、項目入力の4ステップを示し、それぞれが後工程のどの機能に影響するかを示す図。 MM01の4ステップ——初期画面の3項目が全体を決める STEP 1 初期画面 品目番号・品目タイプ・業種 ここで使えるビューが決まる STEP 2 ビュー選択 購買・MRP・会計など 不足分はMM02で追加可 STEP 3 組織レベル指定 プラント・保管場所 複数プラント同時可 STEP 4 項目入力・保存 必須項目を埋める MM03で確認 各ステップが後工程の何を決めるか ① 品目タイプ → 番号範囲(MMNR)・標準ビュー・評価の前提 / ② ビュー → 伝票で読まれる項目の有無 ③ 組織レベル → 購買発注・MRP・在庫評価の対象拠点 / ④ 入力値 → 発注点・安全在庫・勘定転記の実際の動き ★ 迷ったら「業務の流れ」でビューを選ぶ 購買して在庫を持つ → 購買ビュー+MRP+会計(評価クラス必須) 生産して販売する → MRP+会計+原価計算(+必要なら販売ビュー) 在庫を持たないサービス → 購買+会計(数量・在庫の項目は使いません)
図2:MM01の4ステップと、各ステップが後工程に与える影響
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ビューの「後から追加」は簡単、組織レベルの追加は重い

ビューの追加(MM02)は日常的に行われますが、プラントを後から追加すると、そのプラント用の購買・MRP・会計の値を一通り入力する必要があります。拠点統合や新工場の立ち上げでは、品目数×プラント数の入力が発生するため、参照コピー(MM01の「参考品目」)と一括登録(LSMW・BAPI)を最初から計画に入れてください。

03STEP 入力項目チェックリスト——購買・MRP・会計で押さえるべきポイント

ビューを選んだら、実務で必ず確認される項目を押さえます。すべてを完璧に入れる必要はありませんが、購買・MRP・会計の3ビューは伝票と決算に直結するため、初回登録で確定させるのが安全です。

ビュー代表的な項目業務への影響
購買購買グループ・発注単位・購買情報レコードの更新可否発注書の既定値と、情報レコードの自動更新の可否を決める
MRP1〜4MRPタイプ・MRPコントローラ・ロットサイズ・安全在庫・発注点所要量計算の対象になるか、いつ・どれだけ発注するかを決める
会計1・2評価クラス・標準価格・移動平均価格・価格管理区分在庫評価額と、入出庫時の勘定転記先を決める(自動転記の前提)
原価計算原価計算ロットサイズ・原価計算可否標準原価の計算対象かどうか、原価見積の前提を決める
  1. 購買ビュー:購買グループと発注単位を入れる——購買グループは発注書の既定値になり、購買実績の集計単位にもなります
  2. MRPビュー:MRPタイプを決める——PD(MRP)は所要量から自動で計画する、ND(発注点)は在庫が発注点を下回ったら補充する、といった運用の型をここで選びます
  3. MRPビュー:MRPコントローラとロットサイズを入れる——誰が計画を回すか、どれだけまとめて発注するかは、在庫と欠品のバランスに直結します
  4. 会計ビュー:評価クラスを入れる——評価クラスが、在庫の入出庫をどの勘定科目へ転記するかを決めます。ここが空だと在庫移動が会計に反映されません
  5. 会計ビュー:価格管理区分(標準価格/移動平均)を確認する——標準価格は差異分析がしやすい、移動平均は実勢価格を反映しやすい。どちらを選ぶかは品目の性格で決まります
  6. 保存後、MM03で必須項目とビューを確認する——登録直後は入力漏れに気づきにくいため、照会画面でビュー単位に確認するのが定着のコツです
品目マスタが伝票・在庫・会計の起点になるデータフロー 品目マスタの購買・MRP・会計ビューの値が、購買発注、入荷、在庫評価、勘定転記へと流れていく関係を示す図。 品目マスタは「伝票・在庫・会計」すべての起点 品目マスタ 購買:購買グループ・発注単位 MRP:MRPタイプ・ロットサイズ 会計:評価クラス・価格管理 1品目 × プラントごと MRP実行(MD01/MD02) 所要量 → 計画オーダー 購買発注(ME21N) 購買グループ・発注単位を継承 入荷・在庫移動(MIGO) 移動タイプ × 評価クラス 在庫評価・自動転記(OBYC) 在庫勘定・GR/IR勘定へ 会計伝票(FI)→ 在庫金額・損益へ 評価クラスを誤ると、在庫が誤った勘定に計上され決算がずれる ★ マスタ項目の設計ミスは、伝票・在庫・決算にそのまま波及する とくに評価クラス(会計1)とMRPタイプ(MRP1)は、運用開始後の変更コストが大きい項目 登録前に「この品目はどの伝票で使われ、どの勘定に落ちるか」を1行で説明できる状態を目指す
図3:品目マスタの値が購買発注・在庫移動・会計転記へ流れる流れ
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品目タイプの標準ビューは OMS2 で決まる

品目タイプごとに「どのビューを必須にするか」「どの項目を非表示にするか」は OMS2 で定義されています。プロジェクトで画面を調整したい場合は、品目マスタではなく品目タイプの設定(OMS2)と項目選択グループ(OMSR)を確認してください。現場から「項目が足りない」と言われたときの原因は、多くの場合ここです。

04INSIGHT 後から変えられない項目と、変更時に止まる処理

品目マスタは「後から直せる」イメージがありますが、在庫や伝票が存在すると変更できない項目があります。代表的なのが、品目タイプと価格管理区分(標準価格/移動平均)です。評価クラスも、在庫を持つ状態での変更は在庫金額の再計算を伴うため、実務上は「新規品目として作り直す」判断になります。

また、保管場所データの削除も在庫がゼロでない限りできません。逆に言えば、初期登録の段階で「この品目をどのプラント・どの保管場所で使うか」を確定できていれば、稼働後の変更はほぼ発生しません。マスタ設計は、業務設計と同時に進めるのが最も安全です。

品目マスタの設計は、購買・在庫・会計の設定と密接に連動します。品目タイプと番号範囲の設定は品目マスタの設定:品目タイプ(OMS2)・マテリアルグループ(OMSF)・番号範囲(MMNR)、在庫評価の考え方はS/4HANAのMM設定⑤:品目タイプ(OMS2)・評価コントロール(OMWM)・評価クラス(OMSK)、登録先の拠点設計はプラントの定義方法:OX10の手順と保管場所(OX09)の作り方を図解で整理しています。

ADTでは、品目マスタの項目設計を単なる登録作業ではなく、購買・在庫・会計の業務設計と一体で支援しています。S/4HANA移行や拠点再編で品目の持ち方を見直す場合は、品目タイプ・評価クラス・プラント構成を最初に確定させることが、後戻りコストを最も小さくします。

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MM01の入力は「最初の3項目」と「ビューの選択」で8割決まります。あとは“この品目はどこで使われ、どの勘定に落ちるか”を意識するだけ。登録前の5分の確認が、稼働後の5時間を節約します!

まとめ

  • 品目マスタは「クライアント・プラント・保管場所」の3階層。購買・MRP・評価はプラント単位で持つ
  • MM01の初期画面は品目番号・品目タイプ・業種の3項目。この3つで使えるビューが決まる
  • ビューは後からMM02で追加できるが、プラント追加は品目数×プラント数の入力が必要
  • 購買・MRP・会計の3ビューは伝票と決算に直結するため、初回登録で確定させる
  • 評価クラス(会計1)とMRPタイプ(MRP1)は、稼働後の変更コストが特に大きい
  • 品目タイプの標準ビューはOMS2、番号範囲はMMNR。画面の項目構成は項目選択グループ(OMSR)で決まる

出典・参考

※本記事は上記の公開情報をもとに、アラディンテクノロジー株式会社編集部が独自に整理・考察したものです。内容は執筆時点(2026-10-31)の情報です。考察部分は当社の見解であり、特定の製品・導入を推奨するものではありません。Tコード・メニューパス・テーブル名はオンプレミス/Private Editionの標準機能に基づく一般情報です。

05FAQ よくある質問

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品目マスタの登録で、いちばん多く聞かれる質問を集めました。実際の設計判断の参考にしてください
MM01・MM02・MM03の違いは?

MM01は作成、MM02は変更、MM03は照会です。SAPのマスタ系トランザクションは01/02/03のサフィックスで統一されています。登録後にビューを追加したい場合はMM02を使います。

ビューはすべて選択しないといけませんか?

いいえ。業務で使うビューだけ選択できます。購買して在庫を持つ品目なら購買・MRP・会計が中心です。不足するビューは後からMM02で追加できますが、会計ビュー(評価クラス)は在庫が動き出す前に確定させてください。

品目番号は自動で採番されますか?

番号範囲(MMNR)の設定によります。内部採番ならSAPが自動で番号を振り、外部採番なら自社の品目コードを入力します。品目タイプごとに方式を決められるため、既存の品目コード体系がある場合は移行前に確定が必要です。

品目マスタは後から削除できますか?

在庫や伝票が存在する品目は削除できません。業務上使わなくなった場合は削除ではなく、ブロック(調達ブロック・販売ブロック)で新規の取引を止めるのが一般的です。

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この記事について

執筆

アラディンテクノロジー株式会社 編集部

SAPコンサルティングとAI活用の現場知見をもとに、基幹業務のスマート化に役立つ情報をお届けしています。

監修

劉 瑞(リュウ ズイ)

代表取締役社長。SAP ABAP開発からコンサルティングまで15年、来日20年弱。「SAP×AI」の融合による価値創造に注力しています。

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