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品目マスタの設定:品目タイプ(OMS2)・マテリアルグループ(OMSF)・番号範囲(MMNR)

品目マスタは、いきなりMM01で作り始められるものではありません。その前に決めておく設定が3つあります。品目タイプ(OMS2)・番号範囲(MMNR)・マテリアルグループ(OMSF)です。標準の品目タイプは20種類以上、番号範囲は内部採番と外部採番の2方式。この3つを押さえずに品目を作ると、番号が振れない・購買レポートが集計できない・入庫時に勘定決定エラーになる、という「あとから効く」問題になります。本記事では、3つの役割と設定順序、そして採番方式の選び方を図解で整理します。

公開日:2026-10-10読了目安:約14分閲覧数:—

この記事のポイント

  • 品目マスタの前提設定は3つ。品目タイプ(OMS2)が背骨、番号範囲(MMNR)が入口、マテリアルグループ(OMSF)が分類を担う
  • 品目タイプを1つ定義すると、番号範囲・画面構成・勘定カテゴリ参照・数量/金額更新の4つが同時に決まる
  • 番号範囲は「MMNRで定義 → OMS2で品目タイプに割当」の2段階。内部採番(自動・数値のみ)と外部採番(手入力・英数字可)を選ぶ
  • 品目番号の標準は18桁、S/4HANAでは最大40桁まで拡張できる(OMSL)。マテリアルグループは購買発注の既定値とレポートの集計軸になる
ADTナビゲーター
「品目マスタって、MM01を開けばすぐ作れると思われがちなんです。でもその前に3つの宿題があって、ここを飛ばすと『品目タイプが選べない』『番号が振れない』で止まります。今日はその3つを、図でスッキリ片づけますね」

01WHAT 品目マスタは「3つの設定」の上に成り立つ

品目マスタ(Material Master)は、企業が調達・生産・保管・販売するすべての品目の情報を1レコードに集約したマスタデータです。1つの品目レコードは「基本データ」「購買」「会計」などのビューに分かれ、購買部門・倉庫部門・経理部門がそれぞれ必要な項目だけを保守します。品目コードは購買伝票・在庫・購買情報レコード・会計転記のすべてに紐づくため、品目マスタは「物流と会計の共通言語」だと言えます。

そして、この品目マスタを支えているのが、品目タイプ・番号範囲・マテリアルグループという3つの設定です。3つは似た名前の「分類」に見えますが、役割ははっきり違います。図1に整理しました。

品目マスタの前提設定を示す図。品目タイプ(OMS2)は背骨として番号範囲・勘定カテゴリ参照・数量金額更新を制御し、番号範囲(MMNR)は品目番号の入口、マテリアルグループ(OMSF)は購買とレポートの分類を担い、3つがそろってMM01で品目を作成できる
図1:品目マスタの前提設定——背骨(品目タイプ)・入口(番号範囲)・分類(マテリアルグループ)

出発点は「組織構造」——3つの設定の前に確定させる

品目マスタの設定に入る前に、組織構造(会社コード・プラント・購買組織・保管場所)を確定させておく必要があります。品目マスタの購買ビューは購買組織ごと、会計ビューは会社コードごと、プラント固有データはプラントごとに持つためです。組織を後から追加すると、その組織に対する品目マスタの展開(項目の補充)が発生します。

一方で品目タイプや番号範囲はクライアント全体に効く設定なので、組織構造より先に作り込むと手戻りが大きくなります。順序としては「組織構造 → 品目タイプ → 番号範囲 → マテリアルグループ → 品目作成」が基本です。組織構造の全体像はSAP MMのエンタープライズ構造とは?6つの組織レベルの役割を図解で解説しています。

設定画面そのものに慣れていない場合は、先にIMG(SPRO)のたどり方を押さえておくと迷いません。メニューパスの読み方はIMG(SPRO)入門:SAP MMの設定画面への行き方とメニューパスにまとめています。

3つの役割は「背骨・入口・分類」

  • 品目タイプ(OMS2)=背骨——品目マスタの属性を定義する。番号範囲も画面構成も勘定カテゴリ参照も、この定義に紐づく
  • 番号範囲(MMNR)=入口——品目番号の採番ルール。品目タイプごとに「どの番号範囲を使うか」を割り当てる
  • マテリアルグループ(OMSF)=分類——購買・レポートの集計単位。品目タイプより広い分類で、購買発注の既定値になる
💡

「品目タイプ」と「マテリアルグループ」の違いで迷ったら

「会計・在庫の振る舞いを決めるのが品目タイプ、購買・集計の単位がマテリアルグループ」と覚えてください。品目タイプは画面と転記に効き、マテリアルグループはレポートと発注に効きます。同じ品目でも、この2つは別の軸で分類していると考えると整理しやすくなります。

02POINTS 品目タイプ(OMS2)が決める4つのこと

品目タイプは、SAPが標準で20種類以上を用意している「品目の型」です。原材料(ROH)・半製品(HALB)・完成品(FERT)・消耗品(HIBE)・非在庫品(NLAG)・サービス(DIEN)・予備部品(ERSA)・非評価品(UNBW)などがあります。

品目タイプを分ける目的は、分類だけではありません。OMS2で品目タイプを1つ定義すると、次の4つが同時に決まります。

品目タイプが決めること内容関連Tコード
① 番号範囲内部採番か外部採番か、どの番号範囲グループを使うかMMNR
② 画面構成業種と組み合わせて、表示されるビューと必須・任意・非表示の項目が決まるOMT3B/OMSR
③ 勘定カテゴリ参照評価クラスを介して、入庫・請求時に転記するG/L勘定が決まるOMSK/OBYC
④ 数量更新・金額更新在庫数量・在庫金額を更新するかを評価領域ごとに決めるOMS2
品目タイプ(OMS2)が決める4つを示す構成図。番号範囲(MMNR)、画面構成(OMT3B・OMSR)、勘定カテゴリ参照(OMSK・OBYC)、数量更新と金額更新の4つが品目タイプから同時に決まる
図2:品目タイプは「背骨」——1つの定義から4つが同時に決まる

① 番号範囲——採番方式と区間を決める

品目タイプには番号範囲グループを割り当てます。「この品目タイプは内部採番の01を使う」「この品目タイプは外部採番の02を使う」という形です。ここを間違えると、品目作成時に「品目タイプ AXs には外部番号割当できません」というエラーで止まります。現場でよく出るエラーなので、品目タイプと番号範囲の対応表を導入時に1枚作っておくと安心です。

② 画面構成——「品目タイプ × 業種」で表示と必須項目が変わる

MM01でどのビューが表示されるか、どの項目が必須・任意・非表示かは、品目タイプだけで決まるわけではありません。品目タイプと業種(OMS3)の組み合わせに対して、画面シーケンス(OMT3B)と項目選択グループ(OMSR)を重ねて制御します。「品目タイプ=FERT、業種=機械」と「品目タイプ=ROH、業種=化学」では、表示されるビューも必須項目も変わります。

この仕組みを理解しておくと、「この項目は必須にしたい」「このビューは使わないので非表示にしたい」という現場要望に、カスタマイズで応えられるようになります。入力項目の設計は、そのままデータ品質に直結します。

③ 勘定カテゴリ参照——入庫・請求時の転記先を決める

品目タイプには勘定カテゴリ参照(Account Category Reference)を設定します。これは評価クラスのグループを指す参照で、入庫や請求書照合のときに「どのG/L勘定に転記するか」を決める入口になります。原材料と完成品で在庫勘定を分けたい、という要件はこの設定で実現します。設定漏れがあると、入庫時に「勘定決定エラー」として現れます。

④ 数量更新・金額更新——在庫評価の対象にするか

品目タイプごとに、在庫数量を更新するか、在庫金額を更新するかを評価領域単位で決められます。すべての評価領域で更新する、一部だけで更新する、まったく更新しない、の3通りです。金額更新をオフにした品目は在庫金額を持たないため、在庫評価の対象になりません。非評価品(UNBW)のような品目タイプは、この性質をそのまま使っています。

⚠️

品目タイプは「増やしすぎない」

品目タイプを増やすほど、番号範囲・画面構成・勘定カテゴリ参照・移送の管理対象が増えます。まず標準品目タイプで足りるかを検討し、どうしても必要な場合だけ既存タイプをコピーして追加してください。品目タイプの追加はカスタマイズ(移送依頼で運ぶ設定)なので、「やっぱり戻す」は簡単ではありません。

03STEP 番号範囲(MMNR)とマテリアルグループ(OMSF)の決め方

番号範囲の設定は2段階です。まずMMNRで番号範囲(区間)を定義し、次にOMS2で各品目タイプに割り当てます。番号範囲はクライアント単位で一意で、区間を重複させることはできません。図3に、定義から割当までの流れと、内部採番・外部採番の違いを整理しました。

番号範囲(MMNR)の2段階設定を示す図。STEP1で番号範囲(区間)を定義し、内部採番はシステムが自動で数値を発番、外部採番はユーザーが英数字を入力する。STEP2で品目タイプに割り当て、内部採番と外部採番の比較表を掲載
図3:番号範囲は「MMNRで定義 → OMS2で品目タイプに割当」の2段階

実務の標準手順を6ステップで示します。

  1. 品目タイプを棚卸しする(OMS2)——現在使っている品目の分類を洗い出し、標準品目タイプ(ROH・HALB・FERT・HIBE・NLAG・DIENなど)で足りるか確認します。足りない場合だけ既存タイプをコピーして追加します
  2. 品目タイプの属性を確認する(OMS2)——番号範囲グループ・勘定カテゴリ参照・数量/金額更新・調達タイプを品目タイプごとに確認します。ここが品目マスタの振る舞いを決めます
  3. 業種と画面構成を決める(OMS3・OMT3B)——業種を定義し、品目タイプ×業種ごとに画面シーケンスと項目選択(必須・任意・非表示)を調整します
  4. 番号範囲を定義する(MMNR)——区間(01〜99など)を作り、内部採番か外部採番(Extフラグ)かを決めます。区間は重複不可・クライアント単位です
  5. 番号範囲を品目タイプに割り当てる(OMS2)——各品目タイプに番号範囲グループを割り当てます。外部採番を使う場合は、番号範囲チェックの扱いもここで確認します
  6. マテリアルグループを定義する(OMSF)——購買・レポートの集計軸になるコードを登録します。購買発注・購買依頼の既定値になるため、運用開始前にコード体系を決めます
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番号範囲は「将来の品目数」から逆算する

区間の追加はできますが、既存の区間を狭めることはできません。年間1万品目を追加する計画なら、10万件の区間は数年で枯渇します。品目数は多めに見積もり、区間は最初から広めに取っておくのが安全です。番号範囲の枯渇は、品目登録が止まる障害として現れます。

内部採番と外部採番——どちらを選ぶか

内部採番はシステムが自動で数値を発番する方式です。入力の手間もなく、番号の重複も起きません。外部採番はユーザーが番号を入力する方式で、英数字も使えます。

既存システムの品目コードをそのままSAPに持ち込みたい移行案件では外部採番、新規導入でコード体系も作り直す場合は内部採番が選ばれることが多いです。外部採番の番号範囲チェックはOMS2のフラグで制御でき、独自のルールを入れたい場合はユーザーExit(MGA00002)を使う方法もあります。

マテリアルグループ(OMSF)は「購買の共通言語」

マテリアルグループは、品目タイプより広い分類であると同時に、購買部門が日常的に使う集計軸です。購買発注や購買依頼では既定値として提案され、購買レポートの集計単位になり、権限チェックの単位としても使われます。つまり「どの品目を、誰が、どのまとまりで見るか」を決める設定です。

  • 定義はOMSF(SPRO > ロジスティクス共通 > 品目マスタ > 主要項目の設定 > マテリアルグループの定義)
  • コードと名称を登録する。品目タイプのように画面や会計を制御することはない
  • 購買発注(ME21N)・購買依頼(ME51N)で既定値になるため、品目マスタ側で必ず設定する
  • 後からコードを追加できるが、品目に付けた値を変えるとレポートの連続性が切れる

04INSIGHT 「あとから変えにくさ」で設計の優先順位を決める

3つの設定を「あとから変えられるか」で並べ替えると、優先順位が見えてきます。もっとも重いのが品目タイプです。画面構成・勘定カテゴリ参照・在庫更新に波及するため、稼働後の変更は事実上できません。次に重いのが番号範囲で、採番済みの番号は変更できません。マテリアルグループは追加が容易な代わりに、付け替えるとレポートの連続性が切れます。導入時に時間をかけるべき順番も、この順番です。

ADTの現場では、「品目タイプは標準のまま、番号範囲とマテリアルグループだけ自社体系に寄せる」という最小限の設計から始めることが多いです。最初から全部を作り込むと検討が長引き、その間に現場の運用が決まってしまうためです。運用で困った点を次のフェーズで解く方が、結果的に早く安定します。

特に移行案件では、番号の設計がスケジュールを決めます。既存の品目コードを外部採番で継承するのか、内部採番で新コードを振り直して旧コードを項目として残すのか。前者は現場のオペレーションを変えずに済みますが、表記ゆれ対策とチェック設計が必要です。後者はマスタ整備の工程が増えますが、コード体系を正規化できます。品目数と現場の習熟度で決めるのが現実的です。調達業務全体の流れはSAP MMとは?購買から入庫・支払までのProcure-to-Payプロセスを解説で確認できます。

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豆知識:なぜ品目番号は18桁なのか

SAPの品目番号(MATNR)は伝統的に18桁(CHAR18)で、内部採番した数値は先頭のゼロを省いて表示されます。S/4HANA(オンプレミス1511以降)では、項目長を最大40桁に拡張する機能(Material Number Field Length Extension)が用意され、OMSLで有効化します。ただし桁を広げるとアドオンや外部インターフェースへの影響が出るため、拡張するかどうかはプロジェクト全体の判断になります。

ADTナビゲーター
「覚えるのは3つだけです。品目タイプ=背骨、番号範囲=入口、マテリアルグループ=分類。この順番で決めていけば、MM01で途方に暮れることはなくなりますよ!」

まとめ

  • 品目マスタの前提設定は3つ。品目タイプ(OMS2)=背骨、番号範囲(MMNR)=入口、マテリアルグループ(OMSF)=分類
  • 品目タイプを1つ定義すると、番号範囲・画面構成・勘定カテゴリ参照・数量/金額更新が同時に決まる
  • 画面構成は「品目タイプ × 業種」で制御し、画面シーケンス(OMT3B)と項目選択グループ(OMSR)で調整する
  • 番号範囲は「MMNRで定義 → OMS2で品目タイプに割当」の2段階。クライアント単位で区間の重複は不可
  • 内部採番は自動・数値のみ、外部採番は手入力・英数字可。標準18桁、S/4HANAは40桁まで拡張できる(OMSL)
  • マテリアルグループは購買発注の既定値・レポートの集計軸。運用開始前にコード体系を決めておく

出典・参考

※本記事は上記の公開情報をもとに、アラディンテクノロジー株式会社編集部が独自に整理・考察したものです。内容は執筆時点(2026-10-10)の情報です。考察部分は当社の見解であり、特定の製品・導入を推奨するものではありません。Tコード・メニューパスはオンプレミス/Private Editionの標準機能に基づく一般情報です。

05FAQ よくある質問

ADTナビゲーター
「結局うちの場合はどうすれば?」——実務でよく聞かれる質問をまとめました。設計の判断材料にどうぞ。
品目タイプとマテリアルグループの違いは?

品目タイプは画面構成・番号範囲・勘定カテゴリ参照など品目マスタの振る舞いを決める基本分類です。マテリアルグループは購買発注の既定値や購買レポートの集計に使う、より広い分類です。

外部採番と内部採番はどちらが良いですか?

既存の品目コードをそのまま使いたい移行案件は外部採番、新規導入でコード体系を作り直せる場合は内部採番が向きます。外部採番は英数字が使える一方、表記ゆれ対策と番号範囲チェックの設計が必要です。

番号範囲は後から変更できますか?

採番済みの番号と重複しない区間を追加・拡張することはできます。ただし既存の区間を狭めるとエラーになるため、区間は最初から広めに確保しておくのが安全です。採番済みの番号そのものは変更できません。

品目タイプは増やすべきですか?

まず標準品目タイプで足りるかを検討してください。品目タイプを増やすと番号範囲・画面構成・勘定カテゴリ参照・移送の管理対象が増えます。標準で表現できない業務要件がある場合に限り、既存タイプをコピーして追加するのが基本です。

品目マスタの設計、
どこから決めればいいかお悩みですか?

品目タイプ・番号範囲・マテリアルグループの設計は、稼働後の運用効率と移行の成否を左右します。既存コードの継承、採番方式、勘定カテゴリ参照の設計まで、導入経験のあるコンサルタントが伴走します。無料相談からどうぞ。

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この記事について

執筆

アラディンテクノロジー株式会社 編集部

SAPコンサルティングとAI活用の現場知見をもとに、基幹業務のスマート化に役立つ情報をお届けしています。

監修

劉 瑞(リュウ ズイ)

代表取締役社長。SAP ABAP開発からコンサルティングまで15年、来日20年弱。「SAP×AI」の融合による価値創造に注力しています。

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