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SAP MMとは?調達・在庫・請求を一貫管理する6つの機能と、物流全体をつなぐ役割

SAP MM(Material Management)は、調達から在庫・請求までを一貫管理するSAPの中核モジュールです。本記事では、MMが担う6つの機能と、SD・PP・FI/COなどとの連携、さらに初日に覚えたい画面操作の基本と代表Tコード10個を、初心者向けに図解で解説します。

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この記事のポイント

  • SAP MMは調達・マスタデータ・在庫・請求書照合・MRP・勘定決定の6機能を一貫管理する
  • SD(販売)・PP(生産)・PM/PS/WM・FI/CO(会計)の基盤となり、「物流の背骨」と呼ばれる
  • 最初に覚えるTコードは10個(MM01・ME21N・MIGO・MIRO・MD04など)に絞れる
  • マスタや在庫が不正確だと販売・生産・財務のすべてに波及するため、導入はMMから固めるのが定石
ADTナビゲーター
「SAPってモジュールが多くて、MMがどこを担当しているのか分かりにくいですよね。今日はMMの6つの機能と、最初に覚えるべきTコード10個をまとめました」

01WHAT SAP MMが担う役割と、物流の背骨といわれる理由

SAP MM(Material Management=資材管理)は、企業の調達活動を一貫して支えるロジスティクス機能です。購買・在庫・検収・請求を1つのシステムで管理することで、いつ・何を・いくらで・どこの仕入先から調達したかが、すべてデータとして追跡できます。SAP導入プロジェクトでは、最初にMMの組織構造とマスタデータを固めるのが定石とされています。

物流系モジュールの「背骨」——6つのモジュールと連携する

MMは単独で動くのではなく、SD(販売)・PP(生産計画)・PM(設備保全)・PS(プロジェクト)・WM(倉庫管理)・FI/CO(会計・管理会計)と連携します。MMで作成した発注書は、SDの受注・PPの生産・PMの保全活動すべての起点になります。図1のように、MMを中心に各モジュールがデータをやり取りするため、MMの「物流の背骨」という呼び名はここから来ています。

SAP MMの機能マップ。中央にMM(調達プロセス・マスタデータ・在庫管理・請求書照合・MRP・勘定決定と評価の6機能)、周囲にSD・PP・PM/PS/WM・FI・CO・QMが連携する構成図
図1:SAP MMの機能マップ——6つの機能が物流系モジュールをつなぐ「背骨」となる
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「Material Management」の範囲

日本語では「資材管理」と訳されますが、実際には購買(調達)+在庫管理+請求書照合の3領域を横断します。プロジェクトによっては「MM=購買部門のシステム」と誤解されますが、在庫評価や自動転記など会計に近い機能も含む、広いモジュールです。

画面操作の基本——ログイン・ツールバー・Tコードの3点

SAPを触り始めたら、まず画面ナビゲーションに慣れましょう。SAP GUIのログイン画面でクライアント・ユーザー・パスワードを入力し、Easy Access(メニュー画面)から各機能を開きます。メニューを辿るより、コマンドフィールドにTコードを直接入力する方が圧倒的に速いため、実務ではTコード中心の操作が基本です。図2に画面の構成を示します。

SAP画面ナビゲーションのモック。ログイン画面(クライアント001・ユーザー・パスワード)、Easy Accessのメニューバー・標準ツールバー・タイトルバー・コマンドフィールド(/nME21N)・アプリケーションツールバーと、Tコード入力ルール(/nで新規セッション等)を示す
図2:SAP画面ナビゲーション——ログイン・ツールバー・コマンドフィールド(Tコード)の基本(当記事用に自作したイメージ図)

02POINTS 6つの機能と、初日に覚えたいTコード10個

MMの機能は、大きく6つに分類できます。それぞれの機能と代表的なTコードを表1に整理しました。すべて覚える必要はなく、まず調達プロセス(①)と在庫管理(③)のTコードから使ってみるのがおすすめです。

機能担当する業務代表Tコード
① 調達プロセス所要量→購買依頼→発注→入荷→請求書照合ME21N・ME51N・MIGO・MIRO
② マスタデータ品目マスタ・仕入先マスタ・購買情報レコードMM01・XK01・ME11
③ 在庫管理移動タイプによる入出庫・棚卸MIGO・MB52・MB1C
④ 請求書照合3点照合・差異の自動転記MIRO・MR8M
⑤ MRP所要量計算・計画オーダー生成MD04・MD02・MD01
⑥ 勘定決定と評価評価クラス→自動勘定設定(OBYC)OBYC・SE16
  1. ① 調達プロセスを一巡する:ME21N → MIGO → MIRO発注書の作成、入荷(GR)、請求書照合(IR)の流れを実際に実行します。ここがMMの中心です。発注(ME21N)→入荷(MIGO)→請求(MIRO)の3つが動けば、MMの基本は半分以上理解できたと言えます。
  2. ② マスタデータの役割を知る:MM01・XK01品目マスタ(MM01)と仕入先マスタ(XK01)は、すべての調達・在庫・会計データの土台です。品目マスタのビュー(基本・購買・MRP・会計)の意味を押さえます。
  3. ③ 在庫の見方を身につける:MB52・MB1CMB52(在庫一覧)で「どのプラントに何がいくつあるか」を確認し、移動タイプ(101入庫・201出庫など)で在庫が増減する仕組みを理解します。
  4. ④ 請求書照合の意味を理解する:MIRO仕入先からの請求書を、発注・入荷と突き合わせて転記します。数量・単価のズレがどう処理されるかを見ておくと、GR/IRの理解がスムーズです。
  5. ⑤ MRPの結果を読む:MD04MD04(在庫/所要量照会)で供給と需要のMRP要素を読みます。「どの日に・何が・どれだけ必要か」の答えがここにあります。
  6. ⑥ データの裏側を見る:SE16テーブル照会(SE16)で、画面に表示されているデータの裏側を確認する習慣をつけます。調査・トラブル対応の基礎スキルです。

調達プロセス(Procure-to-Pay)の流れを図で押さえる

調達の一連の流れは「Procure-to-Pay(調達から支払まで)」と呼ばれます。図3のように、所要量確定→購買依頼→発注→入荷→請求書照合→支払の6ステップで進みます。入荷(GR)と請求(IR)のタイミング差はGR/IR勘定で一時管理され、月末に消し込みされます。この流れはGR/IR勘定の解説記事でも詳しく扱っています。

調達プロセス(Procure-to-Pay)のフロー図。①所要量確定(MD04/MD02)→②購買依頼(ME51N)→③発注書(ME21N)→④入荷(MIGO)→⑤請求書照合(MIRO)→⑥支払(F-53)の6ステップ
図3:調達プロセス(Procure-to-Pay)——6つのステップと代表Tコード

実機がなくても学べる順番

SAPの実環境がなくても、ME21N→MIGO→MIROの「画面イメージ」と各ステップの意味を先に学べます。無料の学習環境(SAP Learning Hubの体験版など)でTコードを実際に叩くのが効果的です。最初は1日1画面で構いません。

03INSIGHT なぜ「マスタと在庫の正確さ」が全モジュールを左右するのか

MMで作成・管理する品目マスタと在庫数量は、SDの受注残・PPの生産計画・FI/COの在庫評価のすべての基になります。品目マスタの単位(KG/個)が誤っていれば受注・生産・請求までズレますし、在庫数量が正確でなければMRPが過不足を判断できません。だからこそ、SAP導入では「組織構造 → マスタデータ → 調達プロセス」の順に固めるのが定石です。

⚠️

「まずカスタマイズ(SPRO)から」は挫折の元

いきなりIMG(SPRO)で勘定設定や番号範囲を学ぼうとすると、前提となるマスタデータやプロセスの知識がないため、設定項目の意味が理解できず挫折しやすいです。カスタマイズは、一連のプロセスを動かせるようになってから学ぶのが順序として正しいです。MM設定の入口はIMG(SPRO)入門の記事で解説しています。

「なぜ発注書が正しくなければいけないのか」を、会計まで含めて理解したい方はGR/IR勘定とは?、購買業務の全体像はSAP MMとは?Procure-to-Payプロセスを解説もあわせてご覧ください。SAPの画面操作(ME53N・ME9Fによる発注書の印刷・出力)についてはこちらに具体手順をまとめています。

まとめ

  • SAP MMは調達・マスタデータ・在庫・請求書照合・MRP・勘定決定の6機能を一貫管理する
  • SD・PP・PM/PS/WM・FI/COの基盤=物流の背骨
  • 最初のTコードはME21N・MIGO・MIRO・MM01・MB52・MD04・SE16など10個に絞る
  • 入荷(GR)と請求(IR)のズレはGR/IR勘定で管理し、月末に消し込みする
  • 学習は「組織構造→マスタデータ→調達プロセス→カスタマイズ」の順が効率的

04FAQ よくある質問

ADTナビゲーター
「SAP MMの学習について、よく聞かれる質問をまとめました」
SAP MMとSAP PPの違いは何ですか?

MMは資材の調達と在庫管理、PPは生産の計画と実行を担当します。生産に必要な部品の払出(MM)と生産オーダー(PP)は密接に連携します。PPの学習ロードマップはこちらの記事で解説しています。

SAP MMを学ぶ最初のステップは?

まず画面操作(ログイン・ツールバー・Tコード)に慣れ、組織構造(会社コード・プラント・保管場所・購買組織)の概念を理解してから、調達サイクル(ME21N→MIGO→MIRO)とマスタデータを学ぶのが効率的です。全体で3〜6か月が目安です。

SAP MMはどのモジュールと連携しますか?

SD(販売)・PP(生産)・PM(設備保全)・PS(プロジェクト)・WM(倉庫管理)・FI/CO(会計・管理会計)と連携します。特に在庫評価と自動転記はFIとの統合ポイントです。

Tコードは全部覚える必要がありますか?

いいえ。最初は10個(MM01・XK01・ME21N・MIGO・MB52・MIRO・MD04・SE16など)で十分です。覚えるより使って慣れることで、必要なTコードは自然に定着します。

出典・参考

※本記事は上記の公開情報をもとに、アラディンテクノロジー株式会社編集部が独自に整理・考察したものです。内容は執筆時点(2026-08-24)の情報です。考察部分は当社の見解であり、特定の製品・導入を推奨するものではありません。

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この記事について

執筆

アラディンテクノロジー株式会社 編集部

SAPコンサルティングとAI活用の現場知見をもとに、基幹業務のスマート化に役立つ情報をお届けしています。

監修

劉 瑞(リュウ ズイ)

代表取締役社長。SAP ABAP開発からコンサルティングまで15年、来日20年弱。「SAP×AI」の融合による価値創造に注力しています。

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