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会社・会社コードの定義方法:OX15・OX02の設定手順を解説

SAP MMの設定は会社コードの定義から始まります。本記事では、会社(任意)と会社コード(必須)の違いを押さえたうえで、OX15・OX02の操作手順と「後から変更できない3つの項目」を解説します。

公開日:2026-09-07読了目安:約10分閲覧数:—

この記事のポイント

  • 会社コードは自前の財務諸表を持つ最小の会計単位で、定義は必須(OX02)。会社は任意(OX15)
  • 定義は「会社 → 会社コード」の順で、OX15 → OX02 の2画面で完了する
  • 会社コードの通貨・言語・国は後から変更が難しく、設計段階での確定が必須
  • 定義後はプラント(OX10)や購買組織(OX08)を作り、割当(OX18・OX01・OX17)で階層をつなぐ
ADTナビゲーター
「SAPの設定、まず何をすればいい?って聞かれると、私は『会社コードの定義です』って答えます。最初に押さえる2画面(OX15・OX02)と、失敗しやすい入力項目を今日は丁寧に解説しますね」

01WHAT 会社と会社コードの関係——2つの違いと定義の順番

SAP MM(Materials Management=購買・在庫管理)の設定は、企業の組織をシステム上に表す「エンタープライズ構造」の定義から始まります。この連載の前編で、クライアント・会社コード・プラント・保管場所・購買組織・購買グループの6つの組織レベルを解説しました。本記事はその「定義」編の第1回として、会社(Company)と会社コード(Company Code)の2つを作成します。

会社と会社コードは名前が似ていますが、役割と必須度が異なります。まずこの2つの違いを正確に理解することが、迷わず設定を進めるコツです。

会社(Company)=会社コードを束ねる上位のまとまり(定義は任意)

会社(Company)は、複数の会社コードを束ねる上位の組織単位です。たとえば国内に3法人、海外に2法人を持つ企業グループで、法人ごとに会社コードを持つ場合に、それらを「日本会社」や「○○グループ」としてまとめたいときに使います。

財務諸表の連結(グループ決算)や、会社単位のレポートをまとめて見たい場合に役立つ単位ですが、MMの購買業務だけを行うのであれば必須ではありません。SAP標準の導入順でも、会社コードの定義は必須、会社の定義は「必要な場合のみ」とされています。とはいえ、あとから会社を追加しても大きな影響はないため、まずは定義方法だけ押さえておけば十分です。

会社コード(Company Code)=自前の財務諸表を持つ最小の会計単位(必須)

会社コード(Company Code)は、自前の貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)を持つ最小の会計単位です。SAPでは、会社コード単位で独立した会計処理が行われ、仕入先の会計データや請求書の支払処理も会社コードに紐づきます。

会社コードは1つ以上必ず定義が必要です。日本の株式会社であれば「1000」、中国子会社なら「2000」のように、法人単位で番号を採番するのが一般的です。通貨(JPY・USDなど)と言語(JA・ENなど)は、この会社コードに対して設定します。

SAPの組織階層。クライアント(企業グループ全体)の下に会社(任意・OX15)があり、その下に会社コード1000(日本本社・JPY/JA)と2000(海外子会社・USD/EN)が並ぶ。会社コードは自前のBS・PLを持つ最小の会計単位で定義は必須(OX02)であることを示す図
図1:会社と会社コードの関係——会社は「任意の束ね役」、会社コードは「必須の会計単位」
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なぜMMの解説に「会計単位」が出てくるのか

会社コードはFI(財務会計)の単位ですが、MMの購買伝票・在庫転記も会社コードに紐づきます。「どの会社コードが発注・支払をするか」が購買業務の前提になるため、MMの設定記事でも最初に会社コードを定義します。FIとMMの組織単位を共有している、という意識を持っておくと理解が早まります。

02POINTS OX15:会社(Company)を定義する4ステップ

まずは会社(Company)を定義します。IMG(SPRO)のメニューを開き、次のパスをたどります。

IMG(SPRO) → Enterprise Structure → Definition → Financial Accounting → Define Company(OX15)

この連載の第1弾でSPRO(IMG)の開き方を解説しましたが、まだの方は先にそちらをご覧ください。ここからはOX15の操作を4ステップで進めます。

  1. SPROを起動し、パスをたどる——Tコード「SPRO」を実行し、Enterprise Structure → Definition → Financial Accounting → Define Company を選択します。ノード名は英語表示なので「Company」で検索すると速いです
  2. 新規エントリで会社を登録する——一覧画面の「新規エントリ」アイコンをクリックし、会社名・会社コード(内部採番の場合は任意)を入力します。会社名は法人格まで含む正式名称がおすすめです
  3. 住所データを入力する——番地・市区町村・地域・国・郵便番号などを入力します。「追加データ」ボタンから詳細な住所情報も登録できます
  4. 保存して完了を確認する——保存時にトランスポート要求(TR)の入力を求められたら、開発クライアント用の要求を選択します。保存後、一覧に会社が表示されていれば成功です

OX15の入力項目は「会社名」と「住所データ」が中心で、通貨や言語はここでは設定しません。通貨・言語は次の会社コード定義(OX02)で入力するため、混同しないようにしましょう。

03STEP OX02:会社コード(Company Code)を定義する5ステップ

続いて、いよいよ会社コード(Company Code)を定義します。ここがこの記事の本題です。IMGの同じ階層の下にある「Edit, Copy, Delete, Check Company Code(OX02)」を使います。

IMG(SPRO) → Enterprise Structure → Definition → Financial Accounting → Edit, Copy, Delete, Check Company Code(OX02)

  1. OX02の実行画面で「新規エントリ」を押す——会社コード定義の一覧が表示されるので、上の「新規エントリ」アイコンをクリックします
  2. 会社コードと会社名を入力する——4桁以内の英数字(例:1000)と正式な会社名を入力します。番号は伝票やマスタに残るため、将来の増設(買収・新設法人)を見越した体系にします
  3. 住所データ(市区町村・国)を入力する——「追加データ」または住所データのダイアログで、市区町村・国(JP)などを入力します。ここで入力した国が、税や番号範囲などの国の設定を引き出す起点になります
  4. 通貨と言語を入力する——会社コードの通貨(例:JPY)と言語(例:JA)を設定します。この2つが後から最も変更しにくい項目です。多通貨・多言語で運用する予定があれば、並行通貨や翻訳の仕組みを導入計画に含めておきます
  5. 保存して表示モードで確認する——保存後、OX02の「表示」で登録内容(会社名・住所・通貨・言語)を確認します。1設定=1確認で、入力ミスを早期に発見できます
会社コード定義(OX02)の入力画面。会社コード1000、会社名アラディンテクノロジー株式会社、市区町村江東区亀戸、国JP、通貨JPY、言語JAを入力する。通貨・言語は後から変更が難しい項目であり、既存会社コードのコピー機能も使えることを示す図
図2:OX02の入力項目——会社コード・会社名・市区町村・国・通貨・言語
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通貨・言語・国は「あとから変えられない」前提で決める

会社コードの通貨(WAERS)は、転記(会計伝票)が発生した後は原則変更できません。言語(SPRAS)や国も、変更すると既存マスタや帳票・テキストとの不整合が生じます。「後から直せばいいや」は通用しないため、導入設計の段階で法人ごとの通貨・言語・国を確定させてください。

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複数法人があるなら「コピー」で作る

OX02の「コピー」機能を使うと、既存の会社コードを参照して新しい会社コードを作成できます。住所や国の設定を引き継げるため、複数法人(本社+子会社など)を登録する際の入力漏れを減らせます。コピー後は会社名・住所を必ず修正し、通貨が異なる場合は通貨だけを変更して保存します。

04INSIGHT 定義後に必要になる「割当」と「基本設定」

会社コードを定義しただけでは、まだ購買や会計の業務はできません。組織単位は「定義(Define)」して終わりではなく、「割当(Assign)」で親子関係をつなぎ、その上に基本設定を載せることで機能します。定義後に進む流れを整理します(図3)。

会社コード定義後の導入手順。STEP1で会社コード(OX15→OX02)を定義し、STEP2でプラント(OX10)を定義、STEP3でプラントを会社コードに割当(OX18)、STEP4で購買組織・購買グループ(OX08・OME4)を定義してOX01・OX17で割当する。定義と割当は別ステップであることを示すロードマップ図
図3:会社コード定義は「スタート地点」——定義 → プラント → 割当 の順に進む

会社コードの次に定義するのがプラント(工場・事業所)です。プラントは必ず1つの会社コードに割り当てる(OX18)必要があり、逆に1つの会社コードに複数のプラントを持てます。その次に保管場所(OX09)、購買組織・購買グループ(OX08・OME4)を定義し、OX01(購買組織→会社コード)やOX17(購買組織→プラント)で割り当てます。

また、会社コードを会計・購買で実際に使うには、会社コードの外側の設定も必要です。代表例は次の3つです。

  • 会計カレンダー(会計年度バリアント)——決算期(12月決算・3月決算など)を会社コードに割り当てます(OB29で定義、OX02の追加データで割当)
  • 転記期間バリアント——月次決算の「どの期間まで転記できるか」を管理します(OB52)
  • 勘定表(Chart of Accounts)——勘定科目の枠組みを会社コードに割り当てます(OB13)。仕入先・品目マスタの勘定設定の前提になります

このうち会計まわりの基本設定はFIの領域なので、MMの設定記事では詳細を省略することが多いですが、「会社コードを定義したら次は何をすればいいか」の全体像として覚えておくと、導入プロジェクトでの会話がスムーズになります。組織構造全体の考え方はSAP MMのエンタープライズ構造とは?6つの組織レベル(会社コード・プラント・購買組織)の役割を図解で、SPROの開き方はIMG(SPRO)入門:SAP MMの設定画面への行き方とメニューパスで解説しています。

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豆知識:会社コード「1000」はどこから来たのか

SAPのデモ・学習用システム(IDES)では、会社コード1000(ドイツ)や2000(アメリカ)が標準で用意されています。そのため日本語の解説記事でも「会社コード1000」が頻繁に登場します。実際の導入では、自社の番号体系(例:日本法人=1000、中国法人=2000)を最初に決めてから登録しましょう。番号は4桁以内の英数字で、0から始めることはできません。

この会社コード定義の手順は、購買から入庫・支払までの全体フローの中では「組織の土台づくり」にあたります。購買プロセス全体の流れを先に把握しておきたい方はSAP MMとは?購買から入庫・支払までのProcure-to-Payプロセスを解説もあわせてご覧ください。

ADTでは、この組織構造の設計からカスタマイズ・テスト・本番移送・運用定着まで、SAP MM導入を一貫して支援しています。「SAP×AI」の知見を活かし、設計段階から現場オペレーションまで無理のない体制づくりをお手伝いします。多法人・多通貨の組織設計や、既存システムの設定棚卸しのご相談も承ります。

まとめ

  • 会社(OX15)は会社コードを束ねる上位単位で定義は任意。会社コード(OX02)は自前の財務諸表を持つ最小の会計単位で必須
  • 定義の順番は「会社 → 会社コード」。IMGのパスは Enterprise Structure → Definition → Financial Accounting
  • OX02の入力項目は会社コード・会社名・住所・国・通貨・言語の6つ
  • 通貨・言語・国は後から変更が難しいため、設計段階で法人ごとに確定する
  • 複数法人はOX02の「コピー」で既存会社コードを複製すると入力漏れを防げる
  • 定義後はプラント(OX10)→割当(OX18)→購買組織(OX08)と進み、会計カレンダー・転記期間・勘定表の基本設定が必要

出典・参考

※本記事は上記の公開情報をもとに、アラディンテクノロジー株式会社編集部が独自に整理・考察したものです。内容は執筆時点(2026-09-07)の情報です。考察部分は当社の見解であり、特定の製品・導入を推奨するものではありません。Tコード・メニュー名はオンプレミス/Private Editionの標準機能に基づく一般情報です。

05FAQ よくある質問

ADTナビゲーター
会社コード定義の実務で、本当によく聞かれる4つの質問をまとめました。「うちは複数法人だから…」という方は特に参考にしてください。
会社と会社コードは必ず両方作る必要がありますか?

会社コードは必須ですが、会社(Company)は任意です。単一法人で連結決算をSAP上で行わない場合は、会社を定義しなくてもMM・FIの運用は可能です。ただし、複数会社コードの財務諸表をまとめて見たい場合やグループ決算を行う場合は、会社を定義して束ねます。

会社コードの通貨・言語は後から変更できますか?

通貨は転記(会計伝票)が発生した後は原則変更できません。言語や国も、既存マスタ・帳票・テキストとの整合性の面で変更は大きな影響を伴います。「後から直せる」と思わず、導入設計の段階で法人ごとに確定させてください。多通貨対応が必要なら並行通貨(Parallel Currencies)の導入を検討します。

OX02とOX01・OX18の違いは?

OX02は会社コードの「定義」、OX01は購買組織を会社コードに「割り当てる」設定、OX18はプラントを会社コードに割り当てる設定です。SAPの組織設定は「定義(Define)→割当(Assign)」の順で進むため、OX02で定義してからOX01・OX18で紐づけます。

会社コードの番号は何桁で付けていますか?

会社コードは4桁以内の英数字(先頭に0は不可)で設定します。実務では「日本法人=1000、中国法人=2000、米国法人=3000」のように、法人単位で10の倍数を割り振る例が多いです。番号は伝票やマスタに残るため、将来の増設(買収・新会社)を見越した体系を最初に決めましょう。

会社コードの通貨・言語・組織設計、
どこから決めればいいかお悩みですか?

多法人・多通貨の組織設計は、法制度とシステムの両面の知識が必要です。SAP導入経験豊富なコンサルタントが、会社コードの定義から基本設定・割当まで一貫してご支援します。

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この記事について

執筆

アラディンテクノロジー株式会社 編集部

SAPコンサルティングとAI活用の現場知見をもとに、基幹業務のスマート化に役立つ情報をお届けしています。

監修

劉 瑞(リュウ ズイ)

代表取締役社長。SAP ABAP開発からコンサルティングまで15年、来日20年弱。「SAP×AI」の融合による価値創造に注力しています。

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