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SAP FI自動仕分け機能とは?

  • hidenorishira0917
  • 10月27日
  • 読了時間: 9分

更新日:10月30日


SAP FI 自動仕分け
SAP FI 自動仕分け


2025年10月27日

この記事を読むメリット

  • 初心者向け:SAP FIの自動仕分け機能の基本概念と導入メリットを理解できます。

  • 中級者以上向け:自動仕分けの設定方法、トランザクションコード、テーブル構造、トラブルシューティングのポイントを知ることができます。

このページではSAP FIの自動仕分け機能に関するナレッジをまとめていきます。ぜひ、ブックマークしてください!

SAP FIモジュールを利用している企業にとって、日々発生する大量の会計伝票を効率的に処理することは重要な課題です。手動での仕訳入力は時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも高まります。そこで注目されるのが「自動仕分け機能」です。

本記事では、SAP FI自動仕分け機能の概要から実際の設定方法、活用事例まで、実務で使える知識を徹底解説します!


この記事のポイント

  • SAP FI自動仕分け機能の概要と種類

  • 自動仕分けの設定方法とトランザクションコード

  • 自動仕分けで使用するテーブル関連図

  • 自動仕分けの活用事例と導入効果

  • トラブルシューティングと最適化のポイント


SAP FI自動仕分け機能とは?まずは基本をしっかり知ろう

自動仕分け機能の役割・目的

SAP FIの自動仕分け機能は、事前に定義したルールに基づいて、会計伝票を自動的に作成・転記する機能です。この機能を活用することで、以下のようなメリットが得られます:

  • 伝票入力作業の大幅な効率化

  • 入力ミスの削減による会計データの品質向上

  • 定型的な仕訳処理の標準化

  • 月次・年次決算処理の迅速化

  • 会計担当者の業務負荷軽減


SAPシステム全体の中での自動仕分け機能の位置づけ

自動仕分け機能は、SAP FIモジュールの中核機能の一つであり、他のモジュール(MM、SD、CO等)との連携ポイントとしても重要な役割を果たします。特に、以下のような業務プロセスとの連携が重要です:

  • 購買管理(MM)からの請求書検証と自動仕訳

  • 販売管理(SD)からの売上計上と自動仕訳

  • 管理会計(CO)との連携による原価配賦の自動仕訳

  • 銀行取引の自動消込と仕訳生成



SAP FI自動仕分けの主な種類


1. 定期仕訳(Recurring Entries)

毎月定期的に発生する家賃や保険料などの固定費を自動的に仕訳する機能です。事前に仕訳テンプレートを作成し、実行スケジュールを設定することで、指定した日時に自動的に伝票が作成されます。

主な特徴:

  • 固定金額の定期的な仕訳に最適

  • 実行頻度(月次、四半期、年次など)を柔軟に設定可能

  • 有効期間の設定が可能


2. 代替勘定(Substitution)

特定の条件に基づいて、入力された勘定科目や金額を別の値に自動的に置き換える機能です。例えば、特定の費用センターに対する特定の勘定科目の使用を制限し、代替勘定に自動変換することができます。

主な特徴:

  • 入力値の自動修正による仕訳の標準化

  • 複雑な条件設定が可能

  • ユーザーに気づかれることなく処理される


3. 検証(Validation)

伝票入力時に特定の条件をチェックし、条件を満たさない場合はエラーメッセージを表示したりブロックしたりする機能です。これにより、不正確な仕訳や不適切な勘定科目の使用を防止します。


主な特徴:

  • データ入力の品質確保

  • エラーメッセージのカスタマイズが可能

  • 警告レベルの設定(エラー、警告、情報)が可能

4. 自動消込(Automatic Clearing)

売掛金や買掛金などの未決済項目を、特定の条件に基づいて自動的に消し込む機能です。例えば、請求書と入金が一致した場合に自動的に消込処理を行います。

主な特徴:

  • 大量の取引の効率的な消込処理

  • 消込基準のカスタマイズが可能

  • 部分消込や複数伝票の一括消込にも対応


5. 自動配賦(Automatic Distribution)

一つの費用を複数の部門や原価センターに自動的に配賦する機能です。例えば、家賃や光熱費などの共通費用を、あらかじめ設定した比率で各部門に自動配賦します。

主な特徴:

  • 複雑な配賦計算の自動化

  • 配賦比率の柔軟な設定

  • 定期的な実行スケジュールの設定が可能


SAP FI自動仕分けでおさえておきたいトランザクションコード

自動仕分け機能を活用するために知っておくべき主要なトランザクションコードを紹介します。

トランザクションコード

説明

主な用途

FBD1

定期仕訳の作成

定期的に発生する仕訳のテンプレートを作成する

FBD2

定期仕訳の変更

既存の定期仕訳テンプレートを修正する

FBD3

定期仕訳の表示

定期仕訳テンプレートの内容を確認する

F.14

定期仕訳の実行

定期仕訳を手動で実行し、伝票を作成する

OB28

代替・検証の設定

代替勘定と検証ルールを設定する

OBBH

代替・検証ルールの有効化

設定した代替・検証ルールを有効にする

F.13

自動消込の実行

売掛金・買掛金の自動消込を実行する

FBRA

自動消込ルールの設定

自動消込の条件と処理方法を設定する

KB61

自動配賦の設定

費用配賦ルールを設定する

OBYC

伝票タイプの設定

自動仕分け用の伝票タイプを設定する


SAP FI自動仕分けで使うテーブル関連図

自動仕分け機能に関連する主要なテーブルとその関連性を理解することで、カスタマイズやトラブルシューティングがスムーズになります。

テーブル名

説明

主な用途

FAGL_SPLINFO

自動仕分けルール情報

自動仕分けの基本設定情報を格納

BKPF

会計伝票ヘッダ

自動生成された伝票のヘッダ情報

BSEG

会計伝票明細

自動生成された伝票の明細情報

T001B

定期仕訳ヘッダ

定期仕訳のヘッダ情報を格納

T001C

定期仕訳明細

定期仕訳の明細情報を格納

TVARVC

代替・検証ルール

代替・検証の条件設定を格納

TVAK

代替・検証アクション

代替・検証の実行アクションを格納

BSAD

消込済売掛金明細

自動消込された売掛金情報

BSAK

消込済買掛金明細

自動消込された買掛金情報

CSKS

原価センターマスタ

自動配賦の対象となる原価センター情報


SAP FI自動仕分けの設定方法

1. 定期仕訳の設定手順

  1. トランザクションFBD1を実行:定期仕訳の作成画面を開きます。

  2. 基本情報の入力:会社コード、通貨、有効期間などを設定します。

  3. 仕訳明細の入力:勘定科目、金額、原価センターなどの仕訳情報を入力します。

  4. 実行頻度の設定:月次、四半期、年次などの実行頻度を設定します。

  5. 保存して有効化:設定内容を保存し、定期仕訳を有効化します。


2. 代替・検証ルールの設定手順

  1. トランザクションOB28を実行:代替・検証の設定画面を開きます。

  2. ルールタイプの選択:代替(Substitution)または検証(Validation)を選択します。

  3. 条件の設定:ルールが適用される条件(勘定科目、原価センターなど)を設定します。

  4. アクションの設定:条件に合致した場合の処理(値の置換、エラーメッセージなど)を設定します。

  5. ルールの有効化:トランザクションOBBHを使用して、設定したルールを有効化します。


3. 自動消込の設定手順

  1. トランザクションFBRAを実行:自動消込の設定画面を開きます。

  2. 消込条件の設定:金額、参照番号、取引先などの消込条件を設定します。

  3. 許容差異の設定:消込処理で許容される金額差異を設定します。

  4. 処理オプションの設定:部分消込の許可、複数伝票の一括消込などのオプションを設定します。

  5. 実行スケジュールの設定:自動消込を実行するタイミングをスケジュール設定します。


SAP FI自動仕分けの活用事例


1. 製造業での活用事例

ある製造業では、月次で発生する減価償却費の計上を定期仕訳機能で自動化しました。これにより、月次決算作業が2日間短縮され、会計担当者の作業負荷が大幅に軽減されました。また、手入力によるミスがなくなり、データの正確性も向上しました。


2. 小売業での活用事例

複数店舗を展開する小売チェーンでは、各店舗の売上データから自動的に会計伝票を作成するシステムを構築しました。代替・検証ルールを活用して、店舗コードに応じた適切な勘定科目への自動振り分けを実現し、月次の仕訳作業時間を80%削減することに成功しました。


3. サービス業での活用事例

サブスクリプションビジネスを展開するサービス企業では、毎月の定額課金の売上計上を自動化しました。顧客ごとの契約情報に基づいて自動的に売上伝票が作成されるため、数千件の取引を効率的に処理できるようになりました。


SAP FI自動仕分けのトラブルシューティング

よくある問題と解決策

問題

考えられる原因

解決策

定期仕訳が実行されない

有効期間の設定ミス、バックグラウンドジョブの失敗

トランザクションSM37でジョブログを確認し、FBD2で有効期間を確認・修正する

代替ルールが機能しない

ルールの有効化忘れ、条件設定の不備

OBBHでルールの有効化状態を確認し、OB28で条件設定を見直す

自動消込で一部取引が処理されない

許容差異の設定が厳しすぎる、参照情報の不一致

FBRAで許容差異の設定を見直し、未処理取引の参照情報を確認する

パフォーマンスの低下

処理対象データ量の増加、不適切なインデックス

処理を小バッチに分割し、関連テーブルのインデックスを最適化する

エラーメッセージが表示される

マスタデータの不備、権限の問題

エラーメッセージを分析し、関連するマスタデータや権限設定を確認する

パフォーマンス最適化のポイント

  • 処理タイミングの分散:ピーク時間帯を避けて自動処理をスケジュールする

  • データ量の管理:処理対象を適切に絞り込み、一度に処理するデータ量を制限する

  • テーブルインデックスの最適化:頻繁にアクセスされるフィールドにインデックスを設定する

  • 不要なログの削減:必要最小限のログレベルに設定し、ディスク使用量を抑える

  • 定期的なテーブルメンテナンス:関連テーブルの統計情報を更新し、パフォーマンスを維持する

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この記事を読むメリット:SAPのFIモジュールで使用されているトランザクションコードを知ることができます。

まとめ:SAP FI自動仕分け機能の効果的な活用に向けて

SAP FI自動仕分け機能は、会計業務の効率化と品質向上に大きく貢献する重要な機能です。本記事で解説した以下のポイントを押さえることで、自動仕分け機能を最大限に活用できるでしょう:

  • 自動仕分けの各種機能(定期仕訳、代替・検証、自動消込、自動配賦)の特徴と用途を理解する

  • 主要なトランザクションコードとテーブル構造を把握し、効率的な設定・運用を行う

  • 業種や業務に応じた活用事例を参考に、自社に最適な自動化を検討する

  • トラブルシューティングのポイントを押さえ、問題発生時に迅速に対応できるようにする

  • パフォーマンス最適化の施策を実施し、安定した運用を実現する

自動仕分け機能の導入・活用にあたっては、会計業務の標準化と業務プロセスの見直しが重要です。単に既存の業務を自動化するだけでなく、業務プロセス全体を最適化する視点で取り組むことで、より大きな効果を得ることができます。

SAP FIの自動仕分け機能を活用して、会計業務の効率化と高度化を実現しましょう!




ree

『SAP 白石』です、

20年以上にわたり、SAPの法人営業を担当してきました。

豊富なSAP知識と経験を活かし、幅広い業界・企業との信頼関係を築いてきました。

また、SAP業界における人脈構築と人材の見極めを得意としています。

SAP関連のお仕事や、日本現場での課題・お悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

現場のリアルな課題に寄り添い、最適な解決策をご提案いたします。



 
 
 

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