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基本調達プロセスとは?調達ライフサイクルの8ステップと5つの購買活動を解説

SAP MMの基本調達プロセスは、所要量確定→購買依頼→発注→入荷→請求→支払→評価→契約更新の8ステップが循環する仕組みです。本記事では、調達ライフサイクル全体と、その中で行われる5つの購買活動、さらに「在庫調達」と「直接消費調達」の使い分け(管理単位・転記先・Tコード)を図解で解説します。

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この記事のポイント

  • 調達は「発注→入荷→請求」だけでなく、所要量確定から契約更新までの8ステップが循環するライフサイクル
  • 購買活動は5つ(所要量確定・購買依頼・発注・入荷・請求)に整理できる
  • 「在庫調達」は在庫として管理し、「直接消費調達」は費用として即時消費する
  • 切り替えは品目マスタの「在庫管理対象」設定(X/空欄)で行う
ADTナビゲーター
「『調達って発注書を作れば終わりでしょ?』——実は8つのステップがぐるぐる回るのが調達プロセスです。今日は全体の流れを一気に整理します」

01WHAT 調達ライフサイクルの8ステップ——購買は「一発」でなく「循環」

SAP MMの調達プロセスは、「何が要るか決める」から「契約を見直す」までを1つのサイクルとして捉えます。初心者が「発注書(PO)を作って、入荷して、請求を払えば完了」と理解すると、その後にある実績評価と契約更新の視点が抜け落ちてしまいます。購買業務の精度を上げるのは、この循環を回し続けることです。

8つのステップは「3つの段階」に分けて覚える

8ステップは、次の3段階に分けると頭に入りやすくなります。①準備段階=所要量の確定・購買依頼(何を誰から買うか決める)、②実行段階=発注・入荷・請求・支払(実際にモノとカネを動かす)、③改善段階=実績評価・契約更新(次回を良くする)。図1に8ステップの循環を示します。

調達ライフサイクルのサーキュラーフロー図。①所要量の確定→②購買依頼→③発注→④入荷・検収→⑤請求書照合→⑥支払→⑦実績評価→⑧契約更新が循環する
図1:調達ライフサイクル——8つのステップを循環させて購買の精度を上げる
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「ライフサイクル」で考えるメリット

8ステップで考えると、⑦実績評価(納期・品質・価格)→⑧契約更新(枠契約・ソースリストの見直し)が次の①所要量確定に自然につながります。評価をサボると同じ失敗(納期遅延・高価格)を毎回繰り返すことになります。

02POINTS 5つの購買活動と、在庫調達・直接消費調達の使い分け

調達ライフサイクルの中で購買部門が実際に行う作業は、5つの購買活動に整理できます。SAPでは、この5つの活動を実行する際に「在庫として管理するか(在庫調達)」「その場で消費するか(直接消費調達)」を選択します。図2に5つの活動と分岐を示します。

SAP MMの5つの購買活動フロー。①所要量の確定(MD04)→②購買依頼(ME51N)→③発注(ME21N)の後、在庫調達(MIGO 101で在庫へ入庫→MIRO)と直接消費調達(MIGO 201で消費地へ入庫・消費→MIRO)に分岐する
図2:5つの購買活動——③発注の後、「在庫調達」か「直接消費調達」に分岐する
  1. ① 所要量の確定MRP(MD04・MD02)や手動で「何が・いつ・どれだけ要るか」を確定します。ここが曖昧だと以降のすべてがブレます。安全在庫・リードタイムを考慮した所要量が理想です。
  2. ② 購買依頼(PR)社内の調達要求をME51Nで起票します。承認プロセスを通し、調達区分(標準・外注・振替など)を設定します。
  3. ③ 発注(PO)仕入先・単価・数量・納期を確定してME21Nで発注書を作成します。購買情報レコードやソースリストがあれば、単価・仕入先が自動的に引き継がれます
  4. ④ 入荷・検収(GR)納品を受領し、数量・品質を検収して入庫します(MIGO)。在庫調達なら「在庫/GR/IR」、直接消費調達なら「費用勘定/GR/IR」が転記されます。
  5. ⑤ 請求書照合(IR)仕入先からの請求書をMIROで照合し、発注・入荷との3点照合(数量・単価・納期)を行ってから支払い(F-53)に進みます。

在庫調達と直接消費調達——どちらで発注するか

「在庫調達」は、原材料や予備品のように繰り返し使う品目を倉庫で管理したいときに使います。一方「直接消費調達」は、オフィス用品や消耗品のように在庫管理せず、入荷と同時に費用化したいときに使います。管理単位・転記先・Tコードの違いを表1にまとめました。

比較項目在庫調達(ストック調達)直接消費調達(消耗品調達)
管理単位プラント・保管場所で在庫管理在庫管理なし(原価センタ等へ直行)
入庫先MIGO 101(受注在庫への入庫)MIGO 201(消費地への入庫・消費)
転記先在庫/GR/IR(借方)・GR/IR(貸方)費用勘定(借方)・GR/IR(貸方)
対象の例原材料・半製品・予備品・商品オフィス用品・消耗品・雑費
主なTコードME21N・MIGO 101・MIRO・F-53ME21N・MIGO 201・MIRO

切り替えは品目マスタで行う

在庫調達にするか直接消費調達にするかは、品目マスタ(MM01)の[購買]ビューにある「在庫管理対象」の設定で決まります。「X」なら在庫管理対象、空欄なら消費対象です。品目を登録するときに判断するため、運用ルールを決めておきましょう。

03INSIGHT 転記先の違いで「在庫か消費か」が決まる

在庫調達と直接消費調達の本質的な違いは、会計上の転記先です。在庫調達は入庫時に「在庫」として資産計上され、消費した分だけ費用に振り替わります。一方、直接消費調達は入庫と同時に「費用」として計上されます。図3のように、この転記の違いを押さえると、FI(財務会計)との統合ポイントが見えてきます。

在庫調達と直接消費調達の比較表。管理単位・入庫先・転記先・対象の例・主なTコードを比較し、選び方のポイント(在庫として繰り返し管理したい品目は在庫調達、その場で消費する品目は直接消費調達)を示す
図3:在庫調達 vs 直接消費調達——転記先の違いを理解するとFI統合が見える
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GR/IRが「経由」になる理由

入荷(GR)と請求(IR)はタイミングがズレるため、GR/IR(入庫/請求仮勘定)を経由して一時的に差を預かります。月末にF.13やMR11で消し込みし、残高をゼロにします。仕訳の流れはGR/IR勘定の解説記事で詳しく説明しています。

調達プロセスの全体像をモジュール単位で見たい方はSAP MMとは?Procure-to-Payプロセスを解説、MMの組織構造から学びたい方はSAP MMとは?6つの機能と物流の背骨をご覧ください。発注書の印刷・出力(ME53N・ME9F)の手順はこちらで解説しています。

さらに発注の効率を上げるには、購買情報レコード(ME11)とソースリスト(ME01)の活用が欠かせません。購買情報レコードは「この品目はこの仕入先からこの単価で買う」という取引条件のマスタで、発注時に単価・納期が自動提案されます。ソースリストは「この品目はどこから調達するか」を固定するマスタで、複数仕入先の優先順位や有効期間を管理できます。これらを使うと、③発注のステップで「仕入先・単価を毎回入力する」手間が省け、入力ミスも減らせます。基本調達プロセスを一巡させたら、次はこの2つのマスタを整備して「繰り返しの効率化」に進むのがおすすめです。

まとめ

  • 調達は「所要量確定→購買依頼→発注→入荷→請求→支払→評価→契約更新」の8ステップが循環する
  • 購買活動は5つ(所要量確定・購買依頼・発注・入荷・請求)に整理できる
  • 在庫調達=在庫として管理(MIGO 101)、直接消費調達=費用として即時消費(MIGO 201)
  • 切り替えは品目マスタの「在庫管理対象」設定(X/空欄)で行う
  • 入荷と請求のタイミング差はGR/IR勘定で管理し、月末に消し込みする

04FAQ よくある質問

ADTナビゲーター
「基本調達プロセスについて、よく聞かれる質問をまとめました」
在庫調達と直接消費調達はどう使い分けますか?

在庫として繰り返し管理したい品目(原材料・予備品など)は在庫調達、その場で消費する品目(オフィス用品・消耗品など)は直接消費調達を使います。切り替えは品目マスタの「在庫管理対象」設定で行います。

購買依頼(PR)と発注書(PO)の違いは何ですか?

購買依頼は社内からの調達要求(ME51Nで起票)、発注書は仕入先に対する正式な注文(ME21Nで作成)です。発注書が発行されて初めて、外部への契約として効力を持ちます。

3点照合とは何ですか?

発注書(PO)・入荷(GR)・請求書(IR)の3つを、数量・単価・納期の観点で突き合わせることです。不一致があればブロックや保留として検出され、調査・承認後に転記されます。

調達ライフサイクルのどこから学ぶべきですか?

まず「所要量確定→発注→入荷→請求」の実行段階を一巡させ、その後に購買依頼や実績評価・契約更新へ広げるのが効率的です。実際にTコードを叩きながら覚えると定着します。

出典・参考

※本記事は上記の公開情報をもとに、アラディンテクノロジー株式会社編集部が独自に整理・考察したものです。内容は執筆時点(2026-08-24)の情報です。考察部分は当社の見解であり、特定の製品・導入を推奨するものではありません。

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この記事について

執筆

アラディンテクノロジー株式会社 編集部

SAPコンサルティングとAI活用の現場知見をもとに、基幹業務のスマート化に役立つ情報をお届けしています。

監修

劉 瑞(リュウ ズイ)

代表取締役社長。SAP ABAP開発からコンサルティングまで15年、来日20年弱。「SAP×AI」の融合による価値創造に注力しています。

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